外部記憶

他人に取って価値がないが、自分が忘れることに忍びないため残したい記憶・記録を記す外部記憶装置

1時間前に祖父が他界した

80歳を超えた大往生だった。

母親いわく典型的な昭和の頑固オヤジだったらしいが孫の僕には常に優しい祖父だった。 ひ孫をその手に抱かせてやれなかったのが心苦しい。 戦争の記憶を持つ最後の世代だった。 苦労したという話はほとんど直接聞くことはなく、戦争の話も1度以外は聞いたことがなかった。母から間接的に聞いたことは、祖父が漬物の匂いまで嫌うようになった理由は戦争時代が関係するらしい。

祖父からたった一度だけ聞いた戦争の話は、戦後朝鮮半島出身の親友が故郷の北朝鮮へ帰ってしまったこと、それ以来一切連絡が取れなくなってしまったこと。

僕の中では厳格だが優しい祖父だった一方、娘の母からはドリフターズのとても下品なショウにゲラゲラ笑う、そういう一面もあったらしい。

普通の祖父だった。僕は幸せな孫だった。