ニッパーレビュー
プラモデル制作もなんだかんだ数年続いており、ニッパーも増えてきた。 いい機会なのでレビューしようと思う。
まず、前提としてニッパーは次の2種類の目的でそれぞれ分けて購入している。
- ランナーからの切り離し用
- ゲート跡の整形用
- ゲートからの切り離し用
- ★★★★★ Amazon | タミヤ クラフトツール 薄刃ニッパー (ゲートカット用) 74035 | ホビー用工具 通販
- ★★☆☆☆ Amazon | レモラ・ツール のこーるニッパー プラモデル用工具 RN-1 | ホビー用工具 通販
- ★★☆☆☆ Amazon | グッドスマイルカンパニー(GOOD SMILE COMPANY) GSRモデラーズサポートシリーズ MSS-41 匠TOOLS 極薄刃ニッパー | ホビー用工具 通販
- ★★★★☆ Amazon | タミヤ(TAMIYA) クラフトツールシリーズ No.123 先細薄刃ニッパー (ゲートカット用) 74123 | ホビー用工具 通販
- ゲート跡の整形用
- 現在の構成と理想の構成
ゲートからの切り離し用
一番最初、ランナーからパーツを切り離すときに使うもの。 このあと二度切りするので、片刃ニッパーのようにきれいに切れるものでなくて良い。きちんと切れること、十分に丈夫であることが重要。
★★★★★ Amazon | タミヤ クラフトツール 薄刃ニッパー (ゲートカット用) 74035 | ホビー用工具 通販
2014年5月に購入。
最初に買ったが、結局これが最もよかった。 これの素晴らしい点は、それほど力を入れずとも切った部分がパチンと切り離されること。 ずっと使っていたが、オイルが持ち手のところまで垂れてきて触るとベタベタするようになってしまい、使わなくなった。 素人が数年使ったが結局刃こぼれ・切れ味が落ちる感覚は一切なし。
後述するが、他の同価格帯のものを買ったら全然気持ちよく切り離されず、これが如何に優れていたかを逆に再認識することになった。 結局これを超えるものが見つからないので、先細薄刃ニッパーが傷んだらこちらを買おうと思う。
★★☆☆☆ Amazon | レモラ・ツール のこーるニッパー プラモデル用工具 RN-1 | ホビー用工具 通販
2021年8月に購入。
この頃、ランナーからの切り離し用とゲート後処理用でニッパーを2つ持つことを試行し始めており、その最初の1本。 目的と一致しており、安価でもあったので購入したが、実際に使ってみるとものとしてのできの悪さが目立った。 実際のところゲートの形やタッチゲートかどうかなどによって切り離すところは毎回調整する必要があること、利用例のように刃をパーツへ触れさせると切るときの力でパーツに傷が入ってしまい、余計なヤスリ仕事を増やすことなどから殆ど使わず。 その安さをいかして細い真鍮線を切るときなど刃こぼれが発生しうる荒い仕事で使っている。
あんまり使っていないが値段が1,000円以下だったのでがっかり感は小さかった。
★★☆☆☆ Amazon | グッドスマイルカンパニー(GOOD SMILE COMPANY) GSRモデラーズサポートシリーズ MSS-41 匠TOOLS 極薄刃ニッパー | ホビー用工具 通販
2023年9月に購入。
(1) マイスター関田 オススメ工具紹介 極薄刃ニッパー - YouTubeを見て、薄刃ニッパーの代替として買った。 結果的には大失敗で、個体差かもしれないがタミヤ薄刃ニッパーと同じ感覚で力を入れると最後まで切れず、パーツとランナーが切り離されない。 また切り心地も最後まで切ってパツン、という感じではなく、刃が閉じても切りきった、という感触がない。 感触がないために刃が閉じきってしまったあとも力を入れ続け、刃を痛めてしまうのが怖い。結果的に力を十分に入れられない。
また、バネパーツがプラスチックであるため、刃を閉じた状態で長時間保存すると反発力が下がる可能性がある。僕は普段ニッパーを閉じて保管しているのでここも少し面倒。
マイスターのことなので市場中のニッパーを触り探して行き着いたのには間違いない。たぶん何周かしたあとにしかわからないメリットがあるのだと思う。 質感は悪くないので、定期的に触って自分にマッチしたか確かめる。
★★★★☆ Amazon | タミヤ(TAMIYA) クラフトツールシリーズ No.123 先細薄刃ニッパー (ゲートカット用) 74123 | ホビー用工具 通販
2024年1月に購入。 匠TOOLSのニッパーがだめだったのでタミヤのニッパーを書い直すことにして購入。 以前買ったタミヤの薄刃ニッパーとこの先細薄刃ニッパー、どちらがいいかしばらく考慮してこちらを選択した。 結果的には失敗。薄刃ニッパーのほうがよかった。以下で理由を説明する。
ランナーからの切り離しに使うニッパーは、しっかり力が入れられることと、切ったパーツがスムーズにランナーから外れてくれること、刃先の取り回しやすさが重要になる(切れ味は前提なので言及しない)。
しっかり力が入れられることはスムーズに開閉する工作精度の高いかみ合わせが必要になる。これは両者が満たしている。 ただ、切ったパーツがスムーズにランナーから外れてくれることと刃先の取り回しやすさ、この2点が先細薄刃ニッパーは薄刃ニッパーに劣る。 パーツがスムーズにランナーから外れるのに重要なのは、実は刃の厚さ(正確に言うと切断面から刃の背側に向かう過程でどれだけ刃が厚くなるか)である。ニッパーの刃の厚さが薄いと、切り離したランナー側とパーツ側のゲートの間の隙間が非常に薄くなり、すべてのゲートを切り離しても切った部分の静止摩擦でパーツが自然には外れない、ということがよく起こる。これに対して一定の刃の厚さがあると、それが隙間をこじ開け、パーツがランナーから外れやすくなる。パーツを数百も切り分けていると、この部分が非常に体験を左右する。この部分について、先細薄刃ニッパーの先端は刃がうすすぎる。逆に薄刃ニッパーは一定の刃の厚さがあり、これが非常に良い切り離し体験を生む。 でも先細薄刃ニッパーでも刃の根元に近いところできれば同じでは?という観点があるが、これが刃先の取り回しやすさに影響してくる。 確かに先細薄刃ニッパーも刃の根元できれば比較的隙間があくが、こうなってくると長い刃の全長によって、より深くニッパーを差し込む必要が出てくる。これに対して薄刃ニッパーは少し差し込むだけで良い。
これらの点から、ランナーからの切り離し用としては、先細薄刃ニッパーは最適とは言い難い。
ちなみに上記のことは初代(鋭之介 初代 日野氏)がどこかで言っていて(以下の動画だったっけかな?)、初代は薄刃ニッパーばかりを7本も所有しているというのを聞いて裏付けした(先にそっちを見て素直に薄刃ニッパー買っておけばよかったという気もするが、自分で実感することもまた重要なのでこれはこれで良かったと考える)。
- Xユーザーの初代 @相変わらず原型、完成品締切キツい!さん: 「#あなたのニッパー見せて下さい 普通にタミヤの薄刃ニッパーです。 古いものほど酷い用途に格下げしながら現在7本ほど所持しています。 右の写真はもちろんニッパーではないですが3ミリを超えるプラ材用の盆栽道具、又枝切り。 https://t.co/XYteBTfbbp」 / X
- 鋭之介 初代 日野のケツイ制作講座 第一回 - RC BERG LTD.
- 製作においてまず揃えておきたい道具類 - YouTube
ゲート跡の整形用
二度切りの2度目以降用のニッパー。基本的に片刃ニッパーが適している。
★★☆☆☆ Amazon | 【令和最新版】精密薄刃ニッパー プラモデル 片刃 ゲートカット 工具 | ホビー用工具 通販
2021年8月に購入。
1,380円だった。当時ゴットハンドの片刃ニッパーの評判が高まっていた一方、5,000円という高額さに躊躇&そもそも売ってない、ということから一旦安価なもので試してみようと買った1本。 使ってみるとかなり動きが渋かった。ニッパー用のオイルを買ってみて注油してみたが変わらず。単純に工作精度が低いのだと思う。一言で言えば安かろう悪かろう。 amazonレビューの星の多さは完全にサクラのそれで、わかって買ったのだが、これならタミヤの薄刃ニッパーのほうがいいとほとんど使わなかった。
★★★★☆ Amazon | 【右手用】ヌルッと切れる片刃ニッパー 極薄刃 切れ味 bonds(ボンズ)ニッパー プラモデル プラモ ガンダム ガンプラ | プラスチックニッパ
2021年11月に購入。
購入時4,000円。 ゴットハンドのアルティメットニッパーが手に入らないため、代替的に購入。 たしかプラガブの動画で知った。値段が若干安かったのも一因(今はヌルっとニッパーもアルティメットニッパーもほぼ値段は変わらなくなっている)。
見事に名が体を表しており、驚くほど抵抗感のないスムーズな刃の入りをする。3年ほど使っているが、とても満足している。繊細な力の入れ加減へ正確に対応する精密さがある。 片刃ニッパーとして非常に使いやすく、自分は利便性のためにランナー切り離し用のニッパーを使っているが、1本だけニッパーを買うならこれかタミヤの薄刃ニッパーになるかなと思う。 3年、100キット以上で使ってきたが、刃が傷んだりかけたりしていない。まだまだ使えそう。
★5でないのは、触ったことはないながらアルティメットニッパーにはどうやら劣る点があるっぽいため。 いくつかのレビューを見たが、確かに白化の度合いはアルティメットニッパーのほうが小さい。これは刃の精密さというより刃の厚さが関係している気がする。 逆に最初の刃の入りはこちらのほうが優れているかもしれない。この先アルティメットニッパーを触ってみて、一概にアルティメットニッパーのほうがいいわけではないなと思ったら★5に変更する。
現在の構成と理想の構成
現在はタミヤの先細薄刃ニッパーとヌルっとニッパーの組み合わせで使っている。 逆に理想だと思っているのが薄刃ニッパーとアルティメットニッパーもしくはヌルっとニッパーの組み合わせ。 アルティメットニッパーとヌルっとニッパーはまだどちらがいいかわからない。
ただ、現状の自分の感覚では結局ゲート跡を完全に処理するにはデザインナイフ・ヤスリ仕事と塗装が不可避(※)なので、ゲート跡処理用のニッパーはそこまでこだわらなくてもいいかもしれない、と思っている。
※ 表面を完全に均すためにはヤスリが不可避。というのは、どれだけきれいに切れたとしてもゲート部とその隣で質感の違いが発生してしまうため。また、仮にそれが解決したとしてもゲート跡では樹脂の流れや密度差によってどうしても色の違いが発生してしまう(ゲート跡をどれだけ処理しても周囲より色が濃いのはこのため)。なので、二度切りニッパー処理のみで完璧な仕上がりはどちらにしろ見込めない